@nayopu


一人の人間の存在が、人類を滅亡させる――計算機はそう予言した。 世界中で始まる「その人がいない世界」の探索。無数の仮想世界の果てに残されたのは、誰かの不在によってのみ守られた未来だった。


数字で答えられる質問にだけ、すべてを知る機械が答える街。 息子の中学受験を待ちきれない父親は、禁じられた統計参照機に忍び込み、家族の未来を数字で確かめようとする。


飲めば賢くなる1薬と、飲めば少し愚かになれる2薬。 すべてが与えられる退屈な世界で、人々は二つの薬を使いながら「ちょうどいい自分」と、忘れていた楽しさを探していく。


戦場の悪夢を、広告が鮮やかに塗り替えていく。 敗戦国の復員兵を眠らせる「広告付帯睡眠薬」。商品を買う金も尽きた男に、広告のない眠りを手に入れる契約が差し出される。その対価は、戦友の思い出だった。