第1話夜光の浜
求人票には「夜間軽作業・海岸清掃」とだけ書いてあった。
集合は午前2時。指定された浜に行くと、白髪の男がひとり、金属のバケツを持って立っていた。作業着の胸に「回収」と刺繍がある。
「ひろうだけだ」と男は言った。「難しいことはない」
何を、と訊く前に、波打ち際が光った。

砂の上に、光の粒が散らばっている。蛍にしては動かない。ガラス片にしては、内側から光っている。
「星だ」
「……星、ですか」
「そう呼んでる。誰も本当のところは知らん」
拾ってみると、体温くらいの温度があった。手のひらの上で、ゆっくり明滅している。心臓みたいだと思った。
バケツに入れると、こつん、と乾いた音がした。
「決まりがひとつある」男が言った。「重い光は拾うな」
「重いって、どのくらい」
「持てばわかる。持てないくらいだ」
その夜、柊は37個の光を拾った。どれも軽かった。バケツを抱えて帰る道で、中の光はもう消えていた。
時給は、募集要項に書いてあった額の倍だった。
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