懐中時計と「真夜中」
時刻を測らない時計
白ウサギの懐中時計は、時刻ではなく世界に残っている想像力の量を測る計器。文字盤に数字はなく、星の粒が散っている。針は百年をかけて「真夜中」へ向かっていて、いまは真夜中の手前で止まりかけている。
第二の機能として、個人の想像力の残量も測れる。
真夜中に起きること
針が真夜中を指しても、国は消えるのではない。「現実だったことがない」状態に反転する。最初から誰の夢でもなかったことになり、アリスの記憶からも、ダイナに宿る残滓からも、痕跡ごと消える。壁の札のアーカイブも、保存していた事実ごと消える。
ゲストの解凍作業は、「この国は確かに在った」という証言の積み上げでもある。
白ウサギの発見
想像力がもっとも強いのは、子どもではなく「一度何かを諦めた大人」。行き場を失った想像力は圧縮されて、高い純度になる。だから白ウサギは、テーマパークで大人がもう一度無邪気になる瞬間を張り込んでいる。
帽子屋の時計
もうひとつの止まった時計が、帽子屋の懐中時計。飴色の蓋の、飾り気のない職人の道具で、針は6時で止まっている。こちらは「お茶会のループ」を参照。