魔法の杖とハートマーク

ゲストの杖

ゲストの杖は共感の増幅器。女王が魂を封じた札と同じ規格の共鳴器で、女王の錫杖ともヘッドの形が一致する。

杖を振るのは攻撃ではない。封じられた魂の周波数に、外から持ち込んだ楽しさをチューニングして流し込む「解凍」の作業。ゾンビトランプ兵に効くのは、倒しているからではなく、思い出させているから。兵は倒れるのではなく、一瞬昔の姿を思い出して止まる。

ゲストは戦っているのではない。世界に想像力を輸血している。

ハートマーク

場内に散らばるハートマークは、かつて住人が幸せだった場所に残る感情の残響のポイント。帽子屋のお茶会の会場にハートが多いのは、凍結された幸福の残響が濃いため。

かつての祭りの広場は、石畳の円形広場に涸れた噴水、倒れた屋台、色あせた旗。ここにはハートマークが数百単位で密集していて、幸福の残響がもっとも濃い場所のひとつ。

発動

杖を向けると、ハートマークが灯り、音楽や賑わいの影のような残響が一瞬戻る。発動の大きさは持ち主の残量に依存する。未知留が最初に灯した街灯は三秒だった。

解凍には使用者側のコストがある。「あんたの中の何かを使ってる」。その仕組みは本編で少しずつ明かされる。

解凍の実際

第5章で初めて描かれた解凍では、杖を向けられた兵の顔の札が薄れ、下から生前の顔が透けて、一言だけ話し、数呼吸で札に戻った。完全な解凍が起きるのは、もっと後のこと。

最終定理

観測され、共感された存在は、「なかったこと」にできない。